トービのスピリット
化粧品分野のフィルム印刷からスタートして、60年以上。職人のスピリットと先端技術の融合によって、独自のフィールドを築いてきたトービ。次代にかける想いを、ヴィジョンを、代表取締役社長 寺谷一紀が語る。
トービならではの付加価値でオンリーワンの存在に
弊社は創業以来60年以上にわたり、化粧品パッケージを中心としたフィルム印刷を生業に成長を遂げてきました。特殊印刷といわれるこの分野で、つねに革新的な技術を開発し、発信し続けてきた弊社。同業他社に先駆けて、紙の印刷からフィルムの印刷に転換をはかり、世界で初めて商品化に成功した「蒸着シュリンクフィルム」。そして、近年新たに開発した「Tobi High Spec Digital Press」によって、今まで不可能とされていた化粧品スペックのデジタル印刷物を実現させるなど、付加価値の高い製品を次々と生み出してきたのです。
これらはまさに、「職人芸」と「ハイテク」のハイブリッドともいうべきもの。そして、これこそが、他のどこにも真似できない弊社の技術を支える原点なのです。化粧品の世界で鍛えられた仕上がりの美しさや色再現性の正確さは、何よりの強み。その中で培われた職人技も、弊社独自のマイスター制度のもとで受け継がれながら、より一層磨きをかけています。
同時に、多品種小ロットに適応した生産システムを構築。「誠意」と「技術」と「機動力」を合言葉に、お客様のさまざまなご要望に全力で応えることを大切にしてきました。「こんな会社どこにもない」、「思っていた以上のものができた」とお客様に喜んでいただけることが、私たちにとって何よりの誇り。その誇りを胸に、業界の中でも稀有なポジションを獲得してきたのです。
決して真似できない技術を守りさらに発展させていく
そうした「オンリーワン」の土台の上に、これから何を積み上げていくべきか。
私は長年、ジャーナリズムの世界で仕事をしてきたため、どんなことでも客観的に分析する習慣が身に付いています。その視点から見えてきたのは、大企業や新興国の後発企業にも決して真似のできない印刷技術を日本の伝統工芸として守り伝え、さらに発展させていかなければならないという使命です。
弊社は、「蒸着シュリンクフィルム」を初めて商品化した印刷会社です。「蒸着」とは、フィルムに金色や銀色のコーティングを施すこと。そこに熱を加えて美しくシュリンクさせるには、非常に高い技術が求められます。微妙にデザインの異なるさまざまな製品を、お客様の要望に合わせた中小のロットでフレキシブルに生産・供給すること。これをデジタル印刷、グラビア印刷の両方で実現できるのは、日本国内でも弊社だけだと自負しています。
日本のモノづくりは、世界一厳しい品質基準に支えられています。そこには、さまざまな伝統工芸から伝わってくる、ハイクオリティなものを大切にする日本の美意識があると思います。弊社の印刷技術、特に「蒸着転写箔」や「蒸着シュリンクフィルム」、「インモールド転写箔」といった特殊印刷技術は、未来へと伝えていくべき日本の伝統工芸。この日本の美意識を、さまざまな分野や製品のパッケージとして表現していくことこそが、弊社のこれからめざすべき方向性のひとつです。
人や地球にやさしい技術で次の半世紀を見すえた飛躍を
多品種小ロット、高品質、短納期、低コスト。これらの矛盾する要素を、高次元でバランスよく成り立たせるのが、弊社のノウハウです。次の半世紀を見すえたとき、この路線をさらに進化(深化)させていくことはもちろん重要ですが、さらにもう一歩進めて、人や地球にやさしい特殊印刷のあり方を確立していきたいと考えています。
たとえば、CO2をなるべく排出しない工夫。あるいは、資源を浪費しない素材の提供です。京都工場全館には、従来の消費電力を2〜3割カットできるデマンド監視システムを導入し、営業車もすべてハイブリッド車に切り替えました。さらに、「Tobi High Spec Digital Press」、「エコの紙技(かみわざ)」など、エコを意識した新技術も開発。今後も、この流れは続けていく方針です。また、高齢者などを意識したモノづくりや、社会貢献につながる企業活動にも取り組んでいきたいと思っています。
どこにも真似のできない、目からウロコの商品開発は、弊社の得意分野。「他人と違って個性的であること」は、私自身のポリシーであり生き方でもあります。その根底には、関西人としての進取の気質が流れています。
「次代の個性派」をめざして、トービの新たなチャレンジはまだまだ続きます。
製品パッケージに関するご要望、アイデアなどがあれば、どんなことでもご相談ください。弊社の技術とノウハウを活かし、お客様のマーケティングをサポートさせていただきます。
寺谷 一紀 (てらたに いちき) 代表取締役社長
旧大阪外国語大学(現大阪大学・外国語学部)卒業後、NHKに入局。ディレクターとしてドキュメンタリーや報道番組の企画制作に携わった後、アナウンサーに転向。バラエティーの司会やニュースキャスターとして数多くの番組を経験し、2002年フリーに。トービではこの経験を活かし、「内外へ伝える力」を強みに出来る企業を目指す。元追手門学院大学客員教授。